十月のノートから4 (十首)/もっぷ
手で「ちょき」を一人の時にしたことが無いと気づいてふとやってみる
アルプスのどこかで飲んでいるつもり一杯のココア晩秋の部屋
透明の水彩絵の具で描かれた君の九月の絵のナス食べたい
富良野から先週紅葉の写メ届くきのうは銀世界が届く
薄曇りオーガンジーの向こうにはほんとに町があるのだろうか
ボルシチを自由が丘で食べた日はひとりじゃなくってふたりだったね
学び舎の講義の椅子にもう一度座りたいなと思う秋の日
大荒れの台風の日に看護師さん来てくれるのを遠慮できない
老いた日の秋の散歩の羽織ものきっとピンクで隣には君
秋空に身投げしたいと思う日のその澄んだあおどこまでもあお
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