十月のノートから2 (十首)/もっぷ
 
行き先の希望言うのをやめてみて確かに着いたここに十年


タバコ屋のおいちゃんが店閉めるってそうして町は暮れてゆくんだ


冬を待つわけは格別ないままに捲る日めくり明日燃えるごみ


影二つあると思える散歩道秋をみあげて聴こえないもの


「眠る前」飲む時来ると透明の諦観を病むわたしができる


去るものを追わないと言う君だからたとえば私で試したい夜


体育の日過ぎて涼しくなる予報待たれた秋ははにかんでいる


手のなかでわたしが翼切りました十歳の秋の飛べないインコ


秋の鳥探すわたしの歳時記から雀一つが立ってゆく空


もみじ染めたやすく去るか秋のきみいなくなる日は明後日でした


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