風媒花/梅昆布茶
 
春の沃野に解き放つすべての鳥の歌をきかせて

越境するこころのままに春を待つ裸足の足で大地と話す

まっさらなシーツと陽にふくらんだふとんと枕それだけあれば朝はくる

パーリ語で風媒花ってなんて言うんだろうと思いながらも風に乗る

平和な日々あまりに重くあまりにも軽いその存在

日なたのにおい麦の風つくりわすれた竹とんぼ

腰をおろして春を待つひらいたページをそのままに

唐変木花は咲くのか実はなるかそれともはかない木偶人形

きりとって貼り付けて名をよんだらばやっとあの空にみえてきた

渡し守届かぬ空に棹差して花ある里にまた春を待つ

草燃えて残ったばかりの永遠に僅かな風とともに暮らす




戻る   Point(5)