水滴/
梅昆布茶
滴り落ちて返事もなくて水面の波紋がひとつ消えてゆくまま
滑らかな器にそって水は満たされやがてはそのかたちとなる
曇ったガラスになぞった文字は夜明けとともに透き通って読めない
瞳に映る雪の結晶心の襞に溶けてこぼれて
砂漠の果て名も知らぬオアシスの降りそそぐ夜に耳を凝らす
虹色の地球に見立てたシャボン玉団扇であおいで宇宙へ飛ばそう
いま現在ただここだけの一滴を時とよばずに真実とよぶ
枠組みも形も無くて船を出す風と流れとひかりにゆだねて
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