おさなごのまなざし (九首)/もっぷ
 
揺れる穂は黄金でした身の丈を思いつめてた遠い瞳に


みる先にレンゲシロツメ微笑んでひとり上手と夕陽とシチュー


白い靴手放したのは誰ですか問われてのぞむあの日遠くて


まなざしに家が不在のおさなごの掌には凍えた雀が一羽


聞かないで聞いてください揺れながら思い届かずひとりシーソー


ベランダを駆け回りながらみえてきた世界はなんて広いのだろう


親の顔に反応、笑んでその次に喋った言葉にんじんとねぎ


シチューにはにんじんとねぎがありまして母への恋のはじまりでした


産声を翻訳するとしたならば「愛されたい!」の絶叫でしょう


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