雑詠 11+2/もっぷ
夜遠くひかりばかりを掴む夢みてさめざめと淹れるコーヒー
さよならは生涯一度の挨拶ですまだ言ってませんまたねだけです
きょうよりもあしたと思い灯り消し遠くで誰か生きている音
見ていないふりして視てた誰よりも母さんの愛のきょうの配分
そうですか帰るのですか故郷へ春の桜木もの言わず立つ
いまは過去もう風景のあの日から過ぎてほがらかきょう風になる
冬の日に二つ命日かかえてるわたしは春の菫が好きです
六歳の背丈で空をみあげた日「雁行」と知らず雁は飛んでた
書きかけの日記のページ抜ける風夜のなみだはいつも不意打ち
本棚にきちきちにある文庫本もう読まないと決めて老いゆく
おしまいがいつか来るなら春がいい桜みながら息をやめたい
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スーパーで売ってる牛乳怖いって君は自室でヤギ飼いはじめる
何回も洗って使う割り箸できょうはたまたまお肉を食べる
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