再びの歌/生田 稔
堅田から
堅田とは度々訪れ友誘いドライブ遊びの始点となりし
小刻みに揺れる青葉が陽に照りてしばし目を留む交差点には
蕎麦会席の道端の黒々として「かま久」という名の店あり
陽の光ほの懐かしき四月の日妻ときてみた守山の里
夏近し春がすぎゆく通り道やなぎ青々しだれいるかな
二〇一三・四月二九日
守山にて
水無月のある晴れた日にアジサイ園につまと来にけり
微風に柳の小枝ゆらめきて遠くよりきく鳥のさえずり
六月のブルーの空は目にさやか紫陽花咲きて緑は囲む
人の愛いずちにあるやと訝るも神造られし自然は豊か
三々五々訪るる人次第にふえ月曜の午後たまさかの時
二十過ぎ空しきおもいしきりして幸福論を懸命によむ
緑の野そよ風をうけて鳥はなき今日の思いは幸いの中
わたくしの文学の日を一口に強いてろんぜば和魂洋才
同・六月三日
海の面に風吹きわたるさつきの日貝採る海女と磯笛の音
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