秋の草によせて/そらの珊瑚
秋の野に草冠をそっと載せ誰もたたえぬここは萩国
五芒星わたくしの摘む紫の桔梗を君は星だと教え
撫子はまわるまわるよ幼子の見つめる先でかざぐるま
日が経てばすすきの紅い穂もはじけシャンパンカラーに野を酔わせてる
銀色の薄の波にゆれている狐のしっぽ孤独のしっぽ
はなからは女ではありませんでした ならい演じてひらく女郎花
誰彼にしがみつくよう生きてきたくずかずらこそ強い女よ
藤袴 小刀のようなその葉でも断ち切ってみせると君はいうのか
晩秋の冷たい夜をわたりくるさみしき魂 朝露になり
千の秋すぎゆく日々のとむらいにひとひらの雲蒼い空ゆく
タマ、と呼ぶ えのころ草の揺れる野に答える猫は面影のなか
※えのころ草…俗称 猫じゃらし
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