痕跡/梅昆布茶
 
いきることは痕跡をのこすことって残される僕にきみの言う

ろくに二人であるくこともなかったこの街が最後の思い出になるね

子供たちの方がおとなだったって思っているさ今でもそしてありがとう

重ならない家族の未来をそっと置いた皿に暖かな夕餉の香り

違いばかりをみつけることに疲れて閉じたドアをみていた

高台に上れば人生は遺跡のように俯瞰できるのだろうなって思う

窓際に一輪のコスモスときに宇宙のかけらにも見えて

立志伝中の人でなくてもいいからおおらかな生き物になってくださいな

中仙道の午後高校生たちの制服未来を携えて舞い散る花のように

片恋を忘れないでって言わんばかりの夕暮れあの人の詩のように








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