その白い夏/ルナク
 


つきぬける空の青さにたえかねてアゲハの羽の黒を目で追う


向日葵の迷路で迷っていたいのに背がのびすぎて出口が見えた


けだるさの中の憂いに抱かれようサラが歌うはサマータイムか


街中が陽炎のなかユラユラと見えているのは僕だけですか


夕まぐれスティールドラムの雨が降る打て打て打て打て忘れたいのだ


忘れると決めたこころにに夏がきて肌のほてりをもてあます宵


午前4時ようやく熱のひく街でまだ燃えのこる夜光虫の翅


飛ぶ子らを追いかける海 幾億の汗ばんだ手をその白い手を


水時計わたしを置いて西回り溶けよとねがうビイドロ赤い

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