封夏放冬/
木立 悟
まっすぐに降り来る滴に目をとじて我が指こばむ花を笑えず
崖のふち龍は落ちて三叉路の二重三重の径を咥える
欲情を箒で掃う真夜中に火花と錆のまたたきを呑む
灯をつかみ夜をつかんで眠る蜘蛛いつか飛び去る夏の日の朝
これ以上曲がらぬ腕を曲げるとき痛みなき弧に指ふれるとき
曇のうえ手のひらのうえ寝る子たち涙も菓子も等しく夢みて
野の墓を狩られるものと狩るものの光のかけら染めてはすぎる
世の法が色と認めぬ黄金に我は固呆を封じるものなり
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