「十六歳・最後の優等生」七(2010〜2010)/榊 慧
連絡がとれないことがミルクティー、イン・マグカップ、紛れてくれない
大粒のH2O葉を覆い我のなかにはデカルト現る
偏狭なナショナリズムとファシズムの説明受けし昨日の授業
美しき挿絵に惹かれ買い求むルバイヤートの本を愛でたり
トランプのカードを出した君の手の荒れてひび割れたるをみつけし
白き羽思い出したる日の暮れは山に雨降りモンシロチョウ
辛き日にクラスメイトにからかわれ相手にされず短歌を詠みて。
荒野ともいうべきそこに佇まう思春期過ぎぬあいつはだれだ
今や初夏微熱もちては寝込む日に青年時代、「私はだれだ」
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