「十六歳・最後の優等生」三(2010〜2010)/榊 慧
 
世の人は自分も含め生まれつきマゾヒストかと哲学しては

かつお節みたく体を削りたくなる日に見つめ、エゴン・シーレの。

いなくなれ、いなくなれよと繰り返し、午前三時の新聞ことり。

手首から先の存在意識せずただうなだれてコンロをとめる

この人は何なのだろうと母を見て次に父見て子は持つまいと

できるなら純度の高き生活を望みしときの金平糖や

コンクリの古き校舎に見ぬ虫が側に立つ樹の葉から移りて

世界史のWASPを覚え生徒らは人種が何であるか分からず

泡立った白い石鹸若干の辛味を感じ鏡見るわれ
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