桜満開/生田 稔
 
桜満開

或る昼に三人連れ立ち花見むと田舎の方へと車はせつつ

春霞薄き水色ひろごる空にもう冬でない冬も懐かし

ラテン語をひと時学び古の言の葉おかしきその高雅なる

そよ風の吹く坂道の彼方には一本桜咲きにけるかも

あちらこち鶯の声立ちたちて春風つよく頬をなでゆく

桜の木鳥のとまるを見ておれば妻たわむれに吾を揶揄なす

遠くより雄鶏の鳴く声ひびき長閑な山に座りておらば

光さす路の両側桜咲きしばし見とれつ頂上に着く

春の山妻友人と訪れて九首の歌を作りにけり

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