夜とむらさき/
木立 悟
寄り添うは虚ろだと知る夕べから髪と糸の鳥もとめる二人
とげが棘ひかりが光に刺さるのは鉛筆の森はらわたの森
音をただ携えて無の道をゆく冬を後ろにかたちなき人
菓子と酒ひとつに光るうたの曇わたしはわたしのむらさきを聴く
なぞるだけ現われ出でる罠のよに冬うめつくす鳴かぬ虫の羽
鏡には映らぬ崖をすぎてゆく午後降る午後の雷雲の群れ
見えない火見えないふるえに燃えうつり見えない夜に枝は明るく
壁と火が音を消しゆく灰の日に雨から雨へ辿るむらさき
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