帯色未遂/本木はじめ
今赤き風船ひとつきみの手をはなれ空へと浮気なぼくら
胎動を促すごとく数々の伏線蜘蛛の巣顔にかぶれば
ソヴィエトで焚き火にあたっている少女大陸横断鉄道の窓
金魚鉢のふちで指切り約束は滲む金魚の尾ひれに揺れて
ぼくときみ見知らぬ街でぶつかった白い車のミラーの中で
信号機渡る手の平汗ばみてふたりのひとみはあかあおきいろ
ゾンビしてきみに真夜中会いにゆく開口一番「きゃー、バンビ!」おい
蜜とゆう甘くてとろける液体だ星間宙宇を歩いて月へ
牢獄からあなたへ届く一通の手紙の中のひからびた蝶
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