Sundown dazzling day/本木はじめ
 
死火山に松明投げるかのごとくあなたが閉ざした扉をひらく


灯台の下で探すが見つからぬ懐中電灯を持ちしあなたが


ふたりしてベンチに座りブランコの鳴き声などを聞いた十月


畑には一羽の鴉も近寄らず案山子しているぼくたちふたり


黒鍵に指おくきみが鳴いている小鳥の声を捕らえるために


果物を食べるあなたと秋の夜半 蛇を殺した話しなどする


焚き火の夜 枯れているのはわたしたち燃え上がるのもわたしたちだけ


シャッターを切ってる暇もないほどの恋よりのちのアルバムばかり


捨てるために拾うのではなく拾うために捨てねばならぬ落ち葉しきりに


重力と呼ばれしものがある限り不安で不安を支えあうだけ


燃えつきし枯れ葉と同じ灰色の恋がふたりの唯一の恋


思い出を追えばいつでも十月の夕日ばかりが背景となる





戻る   Point(8)