ひかり へだたり/木立 悟
 





陽光の糖度が上がり口のなかさらに甘くなれさらに甘くなれ



つぼみには蝶の群れただ渦の群れ細い林のざわめきの群れ



一本の指に龍の火かがやいて通路も爪もはばたかせゆく



粉に似た水のみ干してかたちなきかたち固めては音の外に置く



私ではない私ゆえ照り返し白夜に溶ける光のあらまし



音のそと紅のそと星のそと円を巡る円冬に書き足しぬ



鈍色の平淡な音立ち尽くし天あおぎみる歩むもののため



星のゆび星うらがえし星なぞり雨の夜のなか星ふるわせる
























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