めくるめくる/あぐり
 
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冬枯れの薊に右目かるく触れ 「さ」からはじまる手紙を書こう





忘れないことでまもった初恋があなたを毎日、毎日千切る


やわらかい雨にせかいを浸したらサティとわたし、ミルフィーユになる


(こめかみがふるえてなにか言いかけて わたしはなんにも聞きたくなくて)


そんなものどこにもないから今日はもうやまない雨だけ求めていたい






ひとひらの雪に小指の影映すみたいにあなたを抱きしめている





落日の速さであなたを泳ぐ冬 たちつくしてる鼻がいたいよ


やらかさの代償みたいに
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