前夜/
苅田由枝
駆け引きはうまくないからいつだって失敗するからうまくなりたい
ぽっくりと死んでもおかしくない恋を守っているからさわらないでね
本当はこわい いつまであのひとのことを覚えていられるんだろう
胸ポケットに耳を押し当て聞く音は確かにいつかの足音に似て
縁ひとつかたどるような仕草までやさしい人差し指がつめたい
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