解と業/木立 悟
 







触れられぬ光のようにそばに居るそばに居るのに遠い宝石




濡れ髪をそのままにおく季のうちに夜の声きく朝の声きく




灰という名の舟のどに羽ばたかせ応えゆくもの彷徨えるもの




夜の樹を見るたび毒はうたいだす昇るまぼろし遠いまぼろし




白い火がまぶたの肉を越えてくる見ても見なくても白い静けさ




雨の指ことごとく夜あつまりて雨のよこ縫う雨のたて縫う




暗闇が棄てた硝子に触れたとき暗闇もまた棄てられたと知る




頬かむり虹の風のなか燃え上がり出会いさえ無い生き方もあり




けだものの爪先かかと駆け上がり土の花が早や空の花となる




祝祭は常に廃墟と隣り合う境いめの無い境いめのうた





























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