盛夏すぎ今日も伝道/生田 稔
歌詠もう晩夏の午後の家々は訪ね回るも留守がちにして
空き部屋がほとんどなのにただ一つ人が住んでて福音伝う
一時間妻と働き汗流しベランダにいて共にくつろぐ
コーヒーの苦い味わい楽しめば妻はうとうと風の吹く午後
今日ここに命を持ちているわたし実存主義というも無理なし
人というジャンルは偉大そう思う詩人歌人が多いゆえ
宗教を嫌う人は多いかもだがしかし大きい力
わたしもやせ老人七十五再びたちて何かなそうと
風鈴がカラカラとなる今日の日もたちまち過ぎて蝉の声やむ
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