雪月花 /夏嶋 真子
 



 淡雪は炎のように降りつもりきみの素肌の灼熱を知る



 凍蝶の滑り落ちゆく黒髪にかかる吐息は結晶化して



 性愛の天を凌いで伸びる蔓 凌霄花は空にまみれる



 梔子の白昼夢からあふれだす途切れ途切れの白いさざ波



 三日月に腰掛け星を集めてはきみの星座を鎖骨に飾る



 月の海にあなたは果てて静かな死 紋白蝶がかかとに留まる



 雪月花 ふたりは園に埋もれて夢のあわいに置き去った夢




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