妻と8首の歌を作れり/生田 稔
 

二重三重山際かさなり緑なす比叡の山は今日も確かに

湖は遠ざかりゆく車上にありやや涼し大津の街は

昼食の時となりたり京に来て茶箱弁当という物を食ぶ

空曇り風は吹きて段上り息つきては齢を知る

火曜日の伊勢丹に来てさまざまの商品を眺め昼となりけり

階上に眺むる街はしっとりと京の都の彩りを持つ

青い空白い雲晴れわたりあくまで深し瞳の奥

西陽さす湖に沿い走りゆく列車の行くて緑濃き家

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