イタリアの恋人/七波
 
彼はいつはじけたとしてもおかしくない赤い悪魔のような人だ


「君のパスタはすごくうまいね!でも俺のマンマの味には劣るけどね!」


彼の幸せとは愛人とサッカー観戦することでわたしじゃない


こんな日に限って彼はいない 元気をお出しとティラミスを食べる


優しく手を引いてくれる人がいない日もジェラートは甘くとけてゆく


サッカーにも愛人にもなれない「じゃあイタリアになれば」と君は言うか


いつか俺の故郷は水の底だと言う日が来るかもと彼は泣いた


ローマの休日を観たせいかと思った 急に「イタリアへ行こう」だなんて


彼がスーツでびしりと決めるのはマンマとわたしの前だけと知る


ゴンドラの向かいで唄うはわたしの気紛れなイタリアの恋人

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