寂しさは闇/夏川ゆう
いつだって留守電のままの息子たち声が聴けない寂しさは闇
バス降りる園児の声がよく響く日本の未来君らに託す
牡蠣フライフワッと揚がる瞬間に別れを告げたあなたを捨てた
赤い薔薇悪いイメージしかなくて鋭い棘が毒を吐き出す
ケータイを持とうとしない母親は固定電話に固定されてる
たい焼きの匂いに呼ばれ買い求め魚になれる御呪いする
一年の終わる速度が速くなる速く感じるだけではなくて
騙すことしか考えていないのか子に成りすます受話器の向こう
大丈夫大丈夫だと肩に手をのせる息子の温もりは愛
丘の上君と寝ころび語り合う落ちてきそうな宇宙について
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