産まれるきみには/あぐり
 



夕闇が溢した色は夢だった 羊水でみたひとりの夢だった


猫足のバスタブの中ふやけてく わたしの小指を食べちゃえば良い


ひとりきり生きてる夜はおなかの中 呟いていた泡を数える


おかあさん、あなたの海がこの肌を ずぅっと甘く濡らしているよ


ゆっくりと息をすること愛すこと きみがわたしに囁いてること


指切りをした日の夜のお風呂には 幸せやらかいミルク色


生きている嬉しさぜんぶあげたいよ わたしの海から産まれるきみには




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