獣たち/木立 悟
 







まなざしの前後にひとつ小舟きて降りそそぐものを受けとめて居り




湿り気が胸の地層を掘り起こす丘を揺さぶる雷竜の夜




冬と川互いを離れそこに在りそこに無い火へ近づいてゆく




草花が要らない色を放つときゆうるりと浴び土に埋まる火




倒しても突き放してもそこに立つあの日焼かれた己が半身




刺すのならこの世界ごと刺すがいい己れにさえも秘した言葉で




緋色からこがねに変わる空を馳せ穂の星を梳くけだものの息




泡ひとつ破れぬままに咽の奥ひとつの空を映していたり
















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