夏の旅/生田 稔
 
夏の旅行
曇り空やや早き朝木々青くバスは始動す旅の始まり

湖が見え湯島の里をすぎゆきて日輪おぼろ竹林をすぐ

思いおり目をあげてみる広々とせる緑目に見ゆ

見渡せば心広く広き川緑は多く何故にかく

バスが出るゆっくりと出る朝早し慎みにつき思いめぐらす

乗り込みて来る人々と挨拶す人多くして心は狭し

愛につき考えており文月はすえ葉は緑なり窓の外には

曇り空行く先に待つ出来事に静かに講演聴くことをふと

今日もまた三日続きの往復のバスいつもの広き緑の野

青々と夏の雨降る広き田が続きておりぬ今庄すぎつ

大鷺の一羽たたずむ夏の田は雲のたなびく山を背にして

トンネルに入りて眼を閉じつればさらに闇なり闇のまた闇

丘の上家あり白く赤き家行き帰りみむそのつつましき


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