終わりなき、グラデーション/望月 ゆき
昨日の空と、今日のわたしと、明日の凪と、そこに存在しない隙間、
窓際のプリズム きみと共有し 虹のない冬に射しこむキセキ
近づいてなお遠ざかる逃げ水にかざす指先伝う体温
サルビアの紅いくちびる幾重もの酸性の朝に沈殿する声
ぼくの足元に横たわる地球儀で石化していく記憶の夏よ
約束のことばを乗せて沖へゆく海賊船の旗に祈りを
きみの背中に人知れず転がった 蜜柑色のゼリービーンズ
吸い上げる、それと同じはやさで、放出できたらいいのに、
うつりゆく季節の輪郭、その曖昧 永遠に終わりなきグラデーション
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