骨/木立 悟
こすりつけなすりつけても骨ひとつ炎のなかに己れ染めゆく
路地裏の真昼飛ぶ夢みるときに知らず知らずに携える骨
灰よりも大きく滴の外に出ず元のかたちを映す骨片
浪が浪淵が淵への轟きをなぞりし骨に曇映ゆる午後
誰からも話しかけられない夜にまたたきつづく骨の筆跡
吹くものも吹かれるものも共に哭き骨くだけゆく苔ひかりゆく
とどかない手紙がとどくその時に骨の行方を垣間見た午後
光の輪むすぶ指先のぞいては虚のなかに降る骨を数える
肉を着て歩いてみても骨は骨ひとりの径をひとりゆくなら
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