牙/石畑由紀子
 
三度目はもう事故じゃない 手のひらで古い磁石が廻り続けて



喉笛は砥石の音色 組み敷かれ我意志のある屍となり



呪いである 凝固と気化を繰り返す二つの肉を月光が刺す



鏡面に君の太古を焼きつける一夜で消える右胸のあざ





戻る   Point(5)