蒼、いくつかの/石畑由紀子
 
 
利き腕を殺しあわずに手をつなぐ二人に喧嘩が絶えない理由



胸元に爪立て割れるピスタチオ 落ちてゆくのはとてもかんたん



でたらめな角度にさまよう手鏡で火があがる なぜ出逢ってしまう






私じゃないほかの誰かを抱かないで ほかのひとに抱かれながら叫ぶ






ほんとうに伝えたいことは不可聴域 レコード針と黄昏れた日々



あの花火おぼえてますか 胸を打つ最後の連打に吐露をかくした






君はいま集合写真の左上 欠落のまま輝いている







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