写真機のシャッター閉じる間だけ/
河原いさの
写真機のシャッター閉じる間だけ恋人の顔させてください
近所でも毎日帰りに会う事が不自然だとは気付かなかった
好きと言うことも嫌いと言うことも恥ずかしくって握りつぶした
呟いた言葉の細い危うさに気づかぬふりで二人笑った
しんとした貴方の指に触られて私の心さらわれました
月明かり突き動かして吾のこと照らしてみせると貴方は笑う
恋という狂気に染まってこんなにも平凡なことばかりを思う
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