【短歌祭参加作品】結局なんら変わらない日々/容子
 
幾度かの春を迎えてみたもののリセットした振りまだ知らん振り


あの晴れた日の出来事が第一話なら明日の朝は何話目かしら


手を引かれ新たなホームへたどり着くそれすら何度も忘れぬように


境界線えくぼに浮かぶ水たまり ちろりと泳ぐ遠いおもいで


「さようなら、また明日ね」と繋げどもおうむ返しにはいかない距離感


口笛を奏でる合間にキスひとつ吹き込まれるのは別れのメロディ


たましいを込めて手折ったひこうきを飛ばしてみるも変わらない日々



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