こがね けだもの/木立 悟
 


鈍色の唱の季節をかきまぜて微笑み交わす龍とけだもの



視が視から離れるたびに近くなるけだものは視る光のみなもと



おまえには自身を射抜く弓がある行方知れない弦のけだもの



腕ふたつひらいた曇を燃してゆくけだものの背にかけら降る午後



血のにじむ水のてのひら見つめては頬寄せ舌を沈めるけだもの



燃やしても燃やし尽くせぬ音は来て水紋を呑む片目けだもの



治るまま治らぬままに血の描くしたたりの道歩むけだもの



己れ失きまばゆさがただ降るを知る遠い笑みの日こがねけだもの









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