さくらさくら/まほし
さよならは青い背もたれ始発にて四月の夢を温めにいく
アンニュイな晴間が秘める春雷に片目をとじて君を待つ午後
ないしょです。星くず燃える屋根裏で子猫と愛し合った日々など
ロシアンティーに赤が足らない透明な理由を誰のせいにもしない
指きりのように背を抱き自転車で転がれさくら吹雪のてっぺん
花びらの波にふたりの足あとは消されて蒼いひかりの果てに
限りなく春から遠いみなそこでさくらさくらとしゃぼんをたてて
さくら、こえ、髪にこぼれる 明日はもう隣にいない君があふれる
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