青春狂想曲/たたたろろろろ
瞳孔に赤い花束しのばせて指揮棒で追う蝶の白さよ
シンバルの彼はスポーツ選手の眼、100mとか、なんかそうゆうの
部長から提案があります「なんでしょう」もっと白目を剥いてください
玉ねぎに譬えてしまう美しさ 甘く、ほの辛く、ああなんて金色
すきまから漏れたあなたの吐息なら桃色じゃなきゃいけないと思う
ふくれゆく気温に潰されてしまう楽譜に書いてあることしかできない
校庭に巻きあげられし紙屑よ 吹奏楽部は昼休みなり
せーのーせっ、お昼ごはんの残り物をあの泥酔者に投げつけるのです
春雷よ メトロノームが狂いだす音楽準備室に夕立
酸性雨 梅の花々とかしつつ君のすぼめた唇を濡らせ
男子には内緒でここをクレシェンドね 五月の空を鯉が彷徨う
幾億も一緒に音を重ねても好きな体位も知れないでいる
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