冬呼(青)/木立 悟
 



あなたなど何処にもいないまぶしさの闇あびるとき微笑む真昼




いくつかの空のなかからひとつだけ溶けゆく青に造られし道




海と空むすぶ羽音の舞の輪に青の魚の名を飛ばす午後




かさぶたのように翼は剥がれ落ち春知らぬ背に触れる雪の手




人知らず人語る人あわれかな人以下の人なかに棲むとき




原からも口からもまだ昇りきぬ平たいばかり青さと言えども




石と川和(わ)せずしてなお広しとも自らの青超えるもの無く




梁(はり)と原よびあう声を染めるのは空に戻れぬことを知る青




冷たさも冬も終わりも知らず燃ゆ二月の炎うたう手のひら










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