冬戯/木立 悟
しあわせに触れたら次はふしあわせお手玉の唄うなじ香らせ
あやとりの糸たぐるうちたどりつくふたつの胸のはざまのひかり
遠くをば見つめることすらできぬ夜みどり火の唄あお果つる唄
のぞきこむ目のなかに穂の人は居て私の夜をあおぎみている
冬の陽にひとり貴女が微笑めば荒れた手のひら水無月の降る
影揺れの絶えぬ無人の野に在りて鏡のなかの目と交わす唄
杯(さかずき)をかたむける先かがやいて遊ぶ子ら曳く水鳥の舟
降る雪に双つのすがた火照らせて昇りゆく羽ひとつたましい
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