ミゼット(30〜36)/ミゼット
 
「海をください」
衝動を燃やす手立てを海に聞く 冬の最中に血潮は熱く


「スピリタス」
屠殺の日 金が欲しいと振り下ろす きっと今日、今、君に会いたい


「光来る朝」
そのゆびが わたしのからだに ふれるとき それがめざめ ひかりくるあさ


「夜明け」
夜を射る 彼女の指が届く頃 空の高くに双星光る


「蕾む乙女」
たましいの在り処に残る光だけ 年老いた乙女 午後に眠る


「刺繍」
紡ぐ糸メリドの丘に日が落ちてお針子ヤシュマは息を引き取る


「氷点下のソネット」
打ち付けた天井に彼女打ち付けた 絡まってまるで蜘蛛の巣みたいよ



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