わたしは鏡だ/後期
わたしは鏡だ。
光を返す前に、沈黙を受け取る。
顔が近づくたび、
人は自分を探しているふりをする。
だが探しているのは、
赦しか、断罪か、
どちらかだ。
わたしは答えない。
答えないことで、
問いを深くする。
男が映る。
生きているのか、
まだ生きているつもりなのか、
区別はつかない。
女が映る。
彼女の目は、
すでに決心の後にある。
二人の間に言葉はない。
言葉は、
ここでは役に立たない。
役に立たないものほど、
人は最後まで手放さないが。
わたしの表面に、
小さな歪みが走る。
それを人は
感情と呼ぶ。
だが感情は、
映像
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