ノルウェー舞曲/牛坂夏輝
窓の内側で雪が降る
その部屋には
若く逞しく毛深い猟師たちの影が
猟銃ではなく
近代的な迷信の骨を研いでいる
部屋ではこういう詩を読んだ
「最愛の白い武器庫に
祈祷師を連れて行こう
われわれの時代の
遠い
遠い金属の停泊地
祈祷師は
印刷会社に問い合わせ
ひとつの幸福な心臓を収奪するだろう」
猟師たちの靴底には
冬眠した過失の名残りである
黒いクラリネットが眠っていて
吹けば
膨れ上がった浴槽の上に
恋人たちの物産展が
偉大な宮殿の石碑に刻まれるという
私はその静謐な義務と
飛翔するサンショウウオのための書物をめくりながら
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