アイス・ソウル ── 冬の金魚/ひだかたけし
 
ギョッとする金色を
醸し出し発光させ
狭い水槽の中でも
絶えず身を翻し
華やぐ盛りに
どろりどろん
死んで死に絶え
底の屍物質と化し
腐り果て視界から消え

ひらりひらひらなみそよがせ
優雅に冬にて再び鰭揺らし
しなやか弾む力動満ち充ち
輝き更にギラギラッとな

遂にはあの瞬間へ寸分違わず

万遍なく降り注ぎ照らし出す
愛の陽光に為す術無く身を晒し
いつしか幾度目かの死を受け容れ
伸びやか優雅に水槽すら透過させ
何処迄も何処迄も広々と泳ぎいく

薄紅に染まる洋上遥か 
久遠の火球立てる轟音母音に
魅入られ導かれ尚も自らを保ち


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