窓口/這 いずる
窓口で呼ばれるのを待っている
番号札を握りしめて
延々とオルゴールが回る
私は大層な夢を
にじむ目で見たが
光ばかり
きらきら、きらきら
夢がにじんで
許してくれるような
余地もなく
窓口は混雑している
私は番号札を確かめて
繰り返しの音が頭の
苦しみに変わる
生活が言葉にならずに
消えていくのは
私の唯一の矜恃で
くるしい、こわい
と端的な言葉だけ出せて
記録する
単純な言葉
と人は見るだろう
くるしい、だけじゃ分からない
分かっている
でも表現しようとしても
耳朶に流れるようなこと、で
ここは
酷く寒い冬のようだ
私は何を聞きに来たのだろうか
窓口で聞くことができる
何かしらの手続きが
私を救わないのを予感する
嫌になってしまった
手が番号札を潰していた
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