像と現存在/杉原詠二(黒髪)
 
針金のような幻が
時にしたがい空気を震わせる
消えてゆく像は
わたしの内に印象として溶ける

そうだった!
愛が多すぎて見間違えちゃったんだった!
ていねいに訂正しておくね
あなたの像と現実のあなたとの差を

傷つけるのは本意じゃないから!
わたしが
愛らしいあなたのことを
幻だけで満足できると思う?
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