昭和64年をまたいだ後に/北村 守通
 
 ブーニンが
 ブラウン管から姿を消して
 ゴルビーが
 民衆にもみくちゃにされていたころ
 楽しい
 未来の思い出話に
 盛り上がる
 クラスメイト達を
 現実に引き戻す
 チャイムが鳴った
 小さなノイズを頭にのっけて
 くす玉が割れた
 小さな破裂音を頭に落として
 小さな爆風に
 背中を蹴っ飛ばされて
 放り出されたころ
 東ヨーロッパの
 独裁者の
 天日干しが出来上がっていた
 
 ように
 記憶している

 黒くなった
 肌の周りを
 ハエたちは
 乱舞した
 歌にあわせて
 乱舞していた

 ように
 記憶している

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