映画館にて/リつ
ふらりと入った三流映画上映中の場末の映画館
お世辞にも出来が良いと言えないドタバタ映画をスクロールしながら
ぼんやりしてる
平日の昼間、
人はほとんど入っていない
ふと気づけば
隣に男が座っていた
痛いくらいに緊張してて
大きく息を何度も吐く
なんだか面白くなってきて
敢えて無視した
ようやく決心したのか
私の脚に彼の脚が乱暴に優しく触れた
そして眠ったのだろう
僕の肩に寄りかかってくる
心地良い暖かさに
眩暈いながら熱さが満ちるのに任せる
あなたは名残惜しそうに
ゆっくりと身体を離した
時折呻き、手の汗を拭い、鞄から麦茶を取り出し
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