はなみずき/
笹峰霧子
塀越しに高く高く
はなみずきが咲いた
芝生に植えられた一本の花水木
随分昔のことのような気がする
裏口から出られる婦人は
いつも和服をきちんと着て
わたしににっこり微笑んで
丁寧にお辞儀をされた
はなみずきが咲くたびに
今どこにおられるのか
どうしておられるのか
突然姿を消された婦人
もういちど会いたい
若かった私と
きれいだった貴女に
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