瓦礫の旋律/
 
かつてそこにあった屋敷を眺める僕
いつもクラシック音楽が流れていた
塀で囲われて中の様子はわからない
僕のクラシック人生のように
安定感があっても大切なものが見えなかった

ある日養生シートが屋敷に張られた
工事内容の看板には解体工事とあり
コンクリートや金属が砕ける音がしていた
しばらくすると養生シートが外され
静寂とショベルカーと鉄筋の残骸が現れた

土埃と共にクラシック時代が崩壊した
僕は旋律を失った自分を瓦礫に見た
人生が変わるほどの底辺まで沈んで
自由を求めて再浮上中の僕のように
やがて力強いヒップホップが流れてくるだろう

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